絞りの技法と絵柄

絞り技法は百数十種!
美しく、チャーミングな絵柄の数々。

絞りの技法と絵柄

絞り技法は百数十種!
美しく、チャーミングな絵柄の数々。

有松絞りの一番の特徴は、なんと言ってもその「技法」の多さにあるでしょう。
400年の歴史の中で生み出されてきた技法は
百数十種とも(あるいは200種とも)言われています。
しかし残念ながら、現在製作可能な技法は約80あまり。
様々な技法を組み合わせて、ひとつの表情豊かな絞りのゆかたが出来上がります。
また、その工程の中で、ヒダを取って糸で巻いたり、くくったり、縫ったり、
たたんだりと様々な技法を使うため、布に凹凸感が生まれ、
べとつかない、さらっとした着心地となります。

鹿の子絞り

鹿の子絞り

もとは京都から伝わった鹿の子絞りが、有松で独自に進化。綿布を使う有松では水洗いを施すため、絹布の京鹿の子絞りより独特のしぼが残りませんが、その分さらりとした風合いになります。

三浦絞り

三浦絞り

もっとも代表的な技法である三浦絞りは、1644年頃、豊後の国(現在の大分県)の三浦という人が有松に伝えたとされています。力加減によって粒の形が微妙に変わるのが魅力です。

巻き上げ絞り

巻き上げ絞り

まず最初に平縫いをした後、引き締め、その後糸で巻き上げる。非常に手間のかかる技術を必要とします。写真の柄の他、花や菱、円など、いろいろな柄を表現することができます。

筋絞り

筋絞り

日本だけでなく、アジア各地にも多く見られる絞り技法です。下絵は描かず、布をたたんだ後、芯に巻きつけながら絞るシンプルな技法が、絞り独特の素朴な味わいを生み出します。

水帽子絞り

水帽子絞り

糸で括る際、ビニールを用いて強く防染するため、模様が白くきれいに浮かびあがります(昔は竹の皮を使っていました)。大帽子、小帽子、中帽子などの種類があります。

蜘蛛絞り

蜘蛛絞り

染め上がった模様が、蜘蛛の巣のように見えるから蜘蛛絞り。有松に古くから伝わる技法で、開祖竹田庄九郎が最初に作った手ぬぐいも、この技法を用いていたと言われています。

一目鹿の子絞り

一目鹿の子絞り

人目絞りとも書きます。鹿の子絞りよりも粒が小さいのが特徴で、その為、細かい柄を表現する際によく用いられます。鹿の子絞りと併用し、柄に奥行きを出す場合も多く見受けられます。

杢目絞り

杢目絞り

縫い絞りの技法のひとつで、数ある絞り技法の中でも、もっとも基礎的なものと言われています。生地を縫って模様を表現するため、針目の揃い具合が命です。

鎧段絞り

鎧段絞り

染め上がりの柄が、武士が戦のおりに着用した、大鎧の大袖や草摺りの段模様に似ているため、「鎧段絞り」と呼ばれている「手筋絞り」です。

唐松絞り

唐松絞り

縫い絞り技法のひとつで、植物をモチーフとし「唐松」と名づけられました。有松絞りの伝統の柄のひとつです。唐松絞りといえば、丸い形がよく見受けられますが、四角や菱形の模様も作ることができます。

日の出絞り

日の出絞り

丸が並んだように染め上がるこの絞りは、日の出の太陽を思わせるところから、「日の出絞り」と呼ばれています。下絵は半円だけを書きますが、布を二つ折りにして縫いますので、できあがりは円形になります。円形を縫い終わったあと、段と段の間を巻きわらを使って巻く方法と、さらにゴム(自転車のタイヤのチューブ)または、ビニールテープを巻く方法があります。

竜巻絞り

日の出絞り

縫い締めた布を筒状にし、さらに上から下へ糸を螺旋状に巻きつける技法。巻き終わった布の形が「竜」のように見えるところから、こう呼ばれています。布を筒状にするとき、防染のため中に芯を入れることがあります。芯には、以前は縄に和紙を巻きつけて使いましたが、今は縄が手に入りにくいため、荷造り用のビニール紐を使います。